- あらすじ
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主人公のキラキラOL・高見翔子は最近出会った外コン勤務、巻 マリ男に恋をしている。
でも翔子は自他ともに認める「恋愛依存症」男性への痛い行動で付き合っても長く続かない。マリくんとしていた約束を「急用ができて行けない」と断られた翔子。
ドタキャン続きのマリくんの愚痴を聞いてほしく、友人のみちかを歌舞伎町のカフェに呼び出した。
でも用事のあったみちかは、早々と帰る代わりにホストクラブの無料チケットを置いていった。
まだまだ話し足りない翔子は、初めてホストクラブに行くことを決意する。
◆詳しい人物紹介の記事はコチラ→どうしたグルダン?!【新連載告知】
◆これまでのお話はこちら→【第1話】はじめてのホストクラブ物語
◆これまでのお話はこちら→【第2話】ホストクラブ行き方編
第3話「歌舞伎町ホストクラブ初回」
「いらっしゃいませ!」
なんかイメージと違う。よくドラマとかで見るホストが大奥の奥方の如く、並んで「姫様いらっしゃいませ!」みたいなのはないのか!?
もしかして私が歓迎されていないだけ?
恐る恐る入口のキャッシャーで私に唯一歓迎しているであろう「いらっしゃいませ」をかけてくれた人に、みちかからもらったチケットを渡した。
すると
「身分証明書ございますか?」
私は事前に準備していたゴールドの運転免許証(取得して以来、身分証明書以外の役割で一度も活躍をした事のない)を手渡した。
その男の人は何度も私と証明書の写真を見比べた後
「ご案内致します。」
と店の奥に招き入れてくれた。
席について、店内を見渡す間もなく、私を案内してくれた男の人が初回の案内を始めた。
どうやら、ホストクラブは初めて来たお客様は安く飲めるらしい。
へー。ホストクラブってもっと敷居の高いものかと思ってた。
とうとうホストクラブに突入よ!いきなり重要な点が出てきたわね…初回の身分証明書確認と初回のセットについてよ。
Q.どの身分証明証なら入れるの?
そもそも身分証明書は免許証のように「写真付き」のもと、保険証のよう「写真の付いていない」ものの2種類存在します。
だいたい国から発行さている顔写真付き証明書であれば1枚だけで入店可能です。
けれどパスポートは住所が確認できない為、1点では入店できない恐れがあるので注意してください。
2枚以上必要の身分証明証の場合も必要な枚数や種類が異なる為、事前にお店側に確認をしておくと入店の際スムーズにいくでしょう。
ホストクラブの基本的な初回システム
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◆ 焼酎飲み放題
◆ 割り物のソフトドリンク飲み放題
◆ 写真指名無料
初回料金のセットで付いてくる焼酎の割ものを聞かれ、お酒のあまり強くない私は「ミルクティ」を選択した。
そして案内をしてくれたお兄さんが
「こちら男本になります。写真で気に入ったキャストを呼ぶことができますので気に入ったホストが居たら言ってくださいね」
と言って去っていった。
割もの
多くのホストクラブは焼酎が1本付き、その焼酎を割るジュースやお茶類を割りものと呼びます。どこの店舗もだいたい割ものは飲み放題です。
男本
そのお店のホスト達の顔写真やプロフィールが載っている、いわばホストのメニュー表です。それを見て好みの男の子をぶ事を「写真指名」と呼びます。
その「男本」はホストの写真がたくさん載っていた。
まるで飲食店のメニュー表のようにホストを選択できるのか…
展開の速さに戸惑う隙すら与えないまま私の目の前にホストがやってきた。
「お邪魔します。はじめまして!モブと言います」
と言い名刺を渡してきた。
「あ、ちょうだいいたします…」
私はついつい昼間の会社の時の感覚で名刺を受取った。
「そんな丁寧にもらってくれるの?姫は…ホスト初めて?」
え?そんなにもすぐ「初めて」というのが透ける程の事を私はしていたのか?
それに…姫って…?
名刺
一般企業同様、名前や連絡先が書いてあります。でもホストの場合は自分の顔写真の載っている「写真名刺」を持っている人も多く居ます。
初回はたくさんのホストが来る為、自分の顔や名前を憶えてもらうためには重要なアイテムの一つです。
姫
ホストがお客様の事を呼ぶ呼称。
突然の事に恥ずかしくなった。
「はい、初めてです。ど、どうすればいいんですか?ホストクラブって…?」
手際よく私にくれるであろうお酒を造りながらモブくんは
「うーん。とりあえずお酒を飲んで楽しんで!」
と言って今しがた作っていたお酒を私の前に置いた。
ミルクティ色に染まった焼酎を眺めながら私はこの展開を精一杯楽しもうと決めた。
「分かった!じゃあ乾杯!」
その後も何人も、ホストがやってきては名刺を渡してくれた。
なんだか回転寿司の寿司ネタの如くホストたちはどんどん変わっていく。
正直、あまり覚えていない子すら居たほど。
でも私は来る人来る人に、マリくんの事を話した。
「えー!こんな可愛い翔子ちゃんを放っておくなんて、そんな男俺は許さない!」
「他にもいい男居ますって!俺にしたらどうすか?」
などなど…うん、なんかちょっと違う気もするけど、
話しはみんな聞いてくれるし、みちかが私に勧めてくれた理由も少し分かる気がした。
初回の付け回しとは
◆ 送り指名のチャンスを平等に!
送り指名でのチャンスはみんな平等にあります。そのチャンスを平等にする為に初回のテーブルに着く時間に偏りがあってはいけません。
その時間を管理する為にお店の管理者が着いた時間を管理している事も多くあります。
◆ この機会が味わえるのは一度きり!
基本、誰か指名を決めてしまうと、そのホストがメインで接客しプラスでヘルプのホストと話すのみになります。
いろいろなホストと話して吟味するチャンスは一度きりです。
- 初回の特徴
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◆料金が安い
◆ドリンクの飲み放題がある。
◆たくさんのホスト達が付け回しでやってくる
◆連絡先が交換できる
何人やってきただろうか?
もうマリくんにズタズタにされかけた自尊心も治ってきた頃だったと思う
「こんばんは。はじめまして、ケンです。」
ケンとやらは、デカデカと写真の載っている名刺と共にやってきた。
私はケンにも同じ様にマリくんとあった今日の経緯を話した。
「翔子ちゃんは一日中マリ男くんで頭がいっぱいになるくらい好きなんだね。でも翔子ちゃんの行動少し重いのかも…。返事が来ていないのに電話を鳴らし続けちゃうとか、それじゃあ引かれちゃうかもしれないし、せっかくの好きって気持ちも無駄になっちゃうよ。」
え…今まで言われた事のない単語に思考が止まった。
「え?意味分からないんだけど…引くってどこに?私が悪いってことなの?」
「もちろんドタキャンしたマリ男くんが悪いんだけど、このままだと翔子ちゃんのそばからも居なくなっちゃうよ?もしかしたら過去の恋愛もそうだったんじゃないのかな…?だとしたら恋愛は好きって気持ちを押し付けるんではなくて、俺協力するよ!」
まさにそうだった…
気が付くと私はケンくんの前でひれ伏せていた。
「き、協力してほしいです!」
◆◆◆◆◆
そんなこんなで初回の時間はすぐに終わってしまった。
最後に送り指名を1人決めてくれと言われたので、迷わずケンくんを選んだ。
「ありがとう翔子ちゃん!今日言った話し本当だから!俺は翔子ちゃんの味方するよ。」
そう言って無邪気な笑顔を私に見せてくれた。
あー。あんまりちゃんと見てなかったけど、かわいい顔して笑う人なんだ。
その場で連絡先を聞かれ、店先まで送り出してもらった。
送り指名
その日に回って来たホストの中でお気に入りのホストを決める事。名前の通り出口まで送り出してくれる。
「あと、今日の格好すごく可愛かったよ。そのワンピースも似合ってる。変な男に絡まれないように気を付けて帰るんだよ。家に着いたら連絡ちょうだい。」
正直ドキっとした。
でもその気持ちが少し恥ずかしかったのでバレないように繕った。
「私はいつも可愛いの!ありがとう!連絡するね。」
私は帰りの電車で「Ken」と書いてあるラインの名前を眺めながら人生はじめてのホストは終わっていったのだ。
飲み直しのメリット
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・ また別日に来て指名するより安い。
・ ビールやサワー(通称・缶もの)をサービスしてくれるお店もある。
・ 気に入ったホストと一緒にお酒が飲める時間が増える
◆ また別日に来て指名するより安い。
飲み直しの特別料金が設定されているお店が多いです。
そもそも飲み直しをするお客様は初回のお客様の中でも多い方ではありません。
なので飲み直しをしてくれたお客様に感謝の気持ちで、安い料金設定にしている所は多いです。
◆ ビールやサワー(通称・缶もの)をサービスしてくれるお店もある。
上の理由にも繋がってきますが初回で来たお客様を指名に変えるのは、いわば常連客を作ると言うことです。
なので他よりはサービスがいい事もあると思います。
◆ 気に入ったホストと一緒にお酒が飲める時間が増える。
指名になると言うことは指名してくれたホストがメインで着くことは確実です。あと指名に切り替えるとそのホストが喜んでくれるのも確実でしょう。
ただ忙しかったりすると着く時間が少し少なくなる恐れもあるので飲み直し前にホスト本人に聞いてみるのもいいでしょう。
次回予告
始めてのホストクラブの余韻に浸っていた翔子。
でもマリくんの釣れなさは相変わらず…
もう誰か助けてくれないかな。
と思った所に恋の救世主・ケンの存在が大きくなっていく。
次回もお楽しみに!!