- あらすじ
-
主人公のキラキラOL・高見翔子は最近出会った外コン勤務、巻 マリ男に恋をしている。
でも翔子は自他ともに認める「恋愛依存症」男性への痛い行動で付き合っても長く続かない。マリくんとしていた約束を「急用ができて行けない」と断られた翔子。
ドタキャン続きのマリくんを愚痴る相手として、友人のみちかから歌舞伎町のホストクラブの初回を勧められる。
初めてホストクラブにドキドキしながらも翔子とマリくんの恋を応援をすると言うホスト「ケン」と出会った。
◆詳しい人物紹介の記事はコチラ→どうしたグルダン?!【新連載告知】
◆これまでのお話はこちら→【第1話】はじめてのホストクラブ物語
◆これまでのお話はこちら→【第2話】ホストクラブ行き方編
◆これまでのお話はこちら→【第3話】歌舞伎町ホストクラブ初回編
第4話「ホストクラブで初指名」
ホストデビューから1週間経った。
連絡先は交換したがこんなに頻繁に連絡が来ると思わなかった。
ケンくんからは毎日連絡が来た。
「おはよう」「おやすみ」なんかの挨拶程度のたわいもない会話だけの日もあれば、少し長めに近況を報告してくれている時もあった。
ホストなんて「お店来て」しか連絡して来ないものかと思っていたが私の予想はここでも大きく外れたようだ。
へーホストってそんなにマメに連絡くれるものなのね。
ちなみに「お店に来て」しか送らないホストは最悪です。そんな自分のわがままだけ一方的に言って女の子は喜んでくれません。
あれからマリくんと進展はない。
『今度の金曜日は予定ある?』
と聞いてみたものの
『今度の金曜日は遅くまで仕事があるから無理。早く翔子の顔見て癒されたい』
との返答。
週末も仕事だなんてマリくんは本当に良く働く人だ。
マリくんにラインは毎日何通か送っているが、返信の反応が薄い気がする。
でも毎回こんなもんだったっけ?
もうケンくんと比べ出してマリくんの普通が分からなくなってきてしまった。
◆◆◆◆◆
今日は外回りの最後に、マリくんの会社の近くまで行ったのでついでにマリくんの顔が見たいと考えた。
せっかくの週末だ。
先週会えなかった分会いたい気持ちも強いし、サプライズでマリくんも私の顔を見たら仕事の疲れだって吹っ飛ぶだろう。
そう思って会社の前に行くと遠くから見覚えのある人が…マリくんだ。
「マリく…」
叫ぼうとした瞬間、マリくんの後ろから駆けよってきた女がマリくんの腕に絡みついた。
それを見て、私はなぜか近くの陰に身を隠していた。
「マリくぅーん、早く行こう」
近くを通った時、女の甘ったるい声が聞こえた。
胃もたれしそうになる程の、その甘い声を聞いたら途端に頭がクラクラした。
今日は仕事だって言っていたのに…。
見えなくなっていく二人の後姿を見ながら傲然と立ち尽くしていた。
女子アナ風の格好に、弾むように揺れる茶色の髪の毛と持っていたサマンサベガのバックの女が忘れられない。
やっぱり出て行って問い詰めれば良かった。
なんで…あんな去年の型落ちのサマンサ(しかもベガ)のバックを使っているような女に負けなければいけないのだ。
途端にイライラと悔しさがこみあげて来て誰かにこの気持ちを吐き出したくなった。
みちか…と思ったがさすがのみちかにもまた金曜日に呼び出すのは気が引ける。
そう思って開いたラインの一番上に居た名前に目が奪われた
『Ken』
あ、私は思わずラインをした。
『ねーまだ私に協力してくれるっていう、あの約束効果ある?』
すぐに付いた既読、そして既読からすぐにケンくんから返事が来た。
『もちろんあるよ。どうしたの?話し聞こうか?』
嬉しくなった私は、今日ケンくんに会いに行く事を決めた。
先週行ったばかりの店だが、やはり緊張するのは変わりない
お店に入ると先日も入口に居た男の人が今日もまた
「いらっしゃいませ」
と私を変わらず迎え入れてくれ不安だった気持ちも半減された。
この前とはまた別の席に通されキョロキョロしていると間もなくケンくんがやってきた
「初指名だね。ありがとう。」
と笑顔を見せてくれた。やっぱりこの人の笑顔はかわいい。
「急に来て大丈夫だった?忙しかった?」
「大丈夫だよ。今日お茶だったし助かった。で、何があったの?」
お茶?まだ飲んでいないと言う事だろうか?
初指名
そのホストの事を始めて指名する事。
お茶
その日、指名のお客様が居ないと言う意味。
私は、今日あった出来事をケンくんに話した
「あーやっぱりイライラする!マリくんに『あの女誰?女のセンス悪い』って今すぐラインする!なんで私がサマンサ、しかもベガなんて…負けたくなさすぎる!」
ケンくんにいろいろ話したら治まっていたイライラが再発しだして私は、ライン画面を開いた。
「待って翔子ちゃん!早まりすぎじゃない?その子がどんな相手かも分からないんだし。」
ラインを送信する寸前の所でケンくんに止められ我に返った。
いつもの私なら間違いなく送って後悔して送信取り消しをしていた。
「でも逆に、その一直線の翔子ちゃんの思いとは逆に突き放してみたら?何日かラインをしてみないとか?」
ケンくんからの思わぬ提案に私は驚いた。
「え?ダメだよ!そんな事したら返信来なくなっちゃうよ…」
私は少し涙目になりながら我が師に泣きついた。
「今まで毎日連絡してたんだから、その日常の連絡がなくなったらアレって思ってあっちから連絡くれるよ。やってみな。」
なんと恐ろしい事を言う…
今まで神だと思っていただが、途端に悪魔に見えてきた。
「男は追いかけたい生き物なんだよ。だからたまには追わせないと翔子ちゃんの魅力半減しちゃうよ!だから絶対に約束ね!」
そう言われると…確かにそれもありな気がしてきた。
このまま毎日ラインを送っている日々だけじゃあ何も変わらないのも分かっていたし。
「分かった!そうしてみるけど…来なかったらちゃんと責任とってよ!」
そうして初指名の私の60分は終わっていった。
え?ここまで来て今回は何を解説するのよ?
前回もなぜ初回じゃなく指名と言う制度を取るのか不思議と言ったけど確かに翔子はケンくんに「会いたくなって」会いに行ってると感じるわね。あまりまだ「好きになっている」感じには思わないんだけど。
「会いたくなる」から来るそれが大切です。
ホストクラブの指名のしくみ
※ホストクラブは永久指名制です。
- ◆永久指名制とは
-
基本、一度指名するホストを決定したら変更する事ができません。
例外として、指名していたホストがお店を辞めた時などは特例で指名が変更できる事もあります。
いくつかまとめてみましょう。
永久指名の理由は?
-
・ サービスの質を落とさない為。
・ お客様の個人情報を聞く事がある仕事だから。
・ より深い関係性が築けるため。
◆ サービスの質を落とさない為。
客様に安定的なサービスを提供して行かなくてはいけません。その為にはホスト同士で来店されるお客様を取り合い、足を引っ張り合うのは結果的にお客様へ提供するサービスの質を落としてしまいかねないからです
◆ お客様の個人情報を聞く事がある仕事だから。
お客様の住所などの個人情報もですが、時には金銭に関わる情報を得る事もあります。
そういった個人情報を多く広めない観点もあるそうです。
◆ より深い関係性が築けるため。
お客様にとっても一人のホストを応援する事ができるのと同様、ホスト側もお客様を大切にする気持ちが生まれます。
そんな点からも永久指名のメリットとなるでしょう。
次回予告
ケンくんにマリくんに連絡をこちらからしないと約束をした翔子。
その約束を果たすべく悪戦苦闘をするのだが、果たしてケンのアドバイスは本当に効果があるのか!?
頑張れ翔子!!