ダメ恋ロマンチカ 【第5話】ホストクラブ初めてのシャンパン編

あらすじ

主人公のキラキラOL・高見翔子は最近出会った外コン勤務、巻 マリ男に恋をしている。
でも翔子は自他ともに認める「恋愛依存症」男性への痛い行動で付き合っても長く続かない。

友人のみちかの勧めで歌舞伎町のホストクラブに始めて行った翔子。
マリくんとの恋の応援をすると言うホスト「ケン」と出会って初指名をした。
ケンくんに「連絡を我慢するように」アドバイスされた翔子。
そのアドバイスに戸惑いながらも実施してみようと決めたのだが…

◆詳しい人物紹介の記事はコチラ→どうしたグルダン？！【新連載告知】
◆これまでのお話はこちら→【第1話】はじめてのホストクラブ物語
◆これまでのお話はこちら→【第2話】ホストクラブ行き方編
◆これまでのお話はこちら→【第3話】歌舞伎町ホストクラブ初回編
◆これまでのお話はこちら→【第4話】ホストクラブで初指名編

第5話「ホストクラブ初めてのシャンパン」

私は毎朝マリくんにラインを送るのが習慣だ。
でもこの日は、ケンくんとした約束を思い出して、とりあえず朝の連絡は止めてみた。

だが、マリくんに朝ラインをするのは歯を磨くのと同じくらい習慣となっている。
通勤中の電車の中でも気になってしまう…想像してみてほしい、朝に歯を磨かず電車に乗ったら自分の口臭気になるでしょ？
私にとってマリくんに連絡しないのはそれくらいの事態なのだ。

うーん、一通くらい送ってもいいよね？

そう思って送ろうとした瞬間
『おはよう！昨日の約束ちゃんと守ってくれてる？今は我慢だよ！』
ケンくんからラインだ。

一体どんな奥義を使って今の私の心情を知っただろうか。
思わず周りをキョロキョロ見回したが、周りには冴えないサラリーマンしか居なかった。
でも、この奥義はかなり効果があったようで朝にラインをする事もなく会社にたどり着くことが出来た。

だが仕事中もラインが気になって仕方ない。
気を紛らわす為に仕事をひたすら頑張る事に決めた。

とりあえず、仕事中に鳴った会社の電話を全て取ることにした。
電話を全部取ったらマリくんから連絡が来る！
という根拠ゼロの願掛けを決め、死にもの狂いで電話を取った。
普段は電話が鳴っても絶対に電話を取らない(取るふりはする)私がすごい形相で電話を取るから、課長は褒めるどころか引いていた。

あっという間に仕事が終わった。
だが信じられない程疲れた。
普段ちゃんと仕事をしている人はこんなに疲れるのかと…そっと今朝、電車で見た冴えないサラリーマンたちを心の中で労った。

『今日はちゃんとライン送らなかったよ！褒めて～』
と送ったら
『よく我慢したね！きっといい方向へ向いていくよ。』
さすがケンくん。なんか案外うまくいっちゃうのかもな。

◆◆◆◆◆

次の日も、その次の日も…死ぬほど仕事に集中して、マリくんに連絡したい気持ちを抑え込んだ。

仕事打ち込みモードになり四日目。
はー、マリくんにラインが送りたい…送りたい…送りたい…送りたい。

もう携帯を持つと手がカタカタと震えだすほどの禁断症状が出てきた。
これが西野カナの言う“会いたくて会いたくて震える”と言うやつか…。

いや、会いたいどころか連絡したいレベルで震えている私は、きっと西野カナよりマグニチュードが大きいだろう。

連絡がない…マジで、あのホストの言う事間違ってたんじゃないの？
もうあんな奴、一生治らない水虫になって苦しめばいい！

でもここまで頑張って我慢して、ここでラインしたら意味がないし。
でもマリくんから忘れ去られてしまったら、それこそ意味がないのでは？

自分の中での葛藤が、日を増すごとに激しくなってきた。
仕事に打ち込みすぎと、手ごたえのない結果にもはや私自身が白目を向きかけ、大震災レベルの震えを起こしかけていたその時だった。

『翔子お疲れ様！明日の仕事終わりご飯でも行かない？』

マリくんきたぁぁぁぁぁ！！！
私はまだ仕事中にも関わらず嬉しさが抑えきれずデスクをバンバン叩いた。

それを見て、ここ数日いつになく働いていた私を引いた顔をして見ていた課長が、今まで以上に引いた顔をして見ている事に気がついたが、気がつかないことにした。

もはや文面を見て涙が流れそうになるくらい嬉しかった。
何度も宛名を見て確認して…確認して…確認した！
嬉しすぎてスクショすらした！

ケンくん、やっぱりあなたの言う事は間違ってなかった…。
私は一瞬でも水虫になればいいと思った事を心から謝罪した。

もちろん秒で返信をした。
『久しぶり！もちろん行きたい♡♡♡♡♡』
とびきり可愛いハートマークを四連打で送った。

でもいいだろう、今日は一つくらいハートが多くても。

とりあえずケンくんに連絡だ！
今後の事も相談したいから会いに行こう！
『ケンくん！マリくんから連絡来たよ！いろいろ話たいから今日行くね！』

明日は何を着ていこうか？どんな事を話そうか？
もう絶対にマリくんは私が気になっている！
その日残っていた仕事は浮き足だって、全然手につかなかった。

◆◆◆◆◆

すっかり通い慣れたこの店。

歌舞伎町を何も知らないが、ここにだけはたどり着く事ができた事を考えると数日での自分の変化に驚く。

いつも通りお店の入り口で、ケンくんの名前を告げるとナビゲータさん(どうやら、このいつも案内してくれる人はナビゲーターと言うらしい)がお店の奥まで案内してくれた。

席に着くと、まずケンくんでない男の子が私のテーブルにやってきた。

「担当のケンさん、もう来ると思うのでちょっと待ってて下さいね。」
初回で来た時に一番最初にテーブルに来た子だった。

男本に写真が載ってなくて学生だから顔出しをしていないと話していたのを覚えていた。
確か源氏名は…モブくん。
どうやらケンくんが来るまでの “ヘルプ”をしてくれるらしい。

話し始めてすぐに、ケンくんがやってきた。
私はケンくんが来た瞬間に、言いたい事が込みあげ一気に吐き出した

「マリくんから連絡きたよ！しかも明日の仕事終わりにデートのお誘いが来たの！本当にケンくんの言う通りになった！ありがとう。」

「だから言ったでしょ！これで翔子ちゃんの価値がまた一つ上がったね！」
ケンくんのかわいらしい笑顔が一段とかわいく見えた。

その笑顔を見たら何かケンくんにお礼がしたくなった。

この気持ちを伝える為に…そういえばホストクラブといえば、よく聞くじゃないかお祝いといったらシャンパンだ！

私は、ケンくんが席を再び外れた瞬間を見計らってモブくんにこっそり相談をした
「ケンくんにお礼にシャンパンを入れたいんだけど…よく分からなくて。でも、そんなにお金は出せないよ！」
「翔子さん、すごい素敵な事を考えますね！これがシャンパンのメニューで…この辺だとそんなに値が張らないですかね。」

モブくんは自分の事のように嬉しそうに一緒にシャンパンを選んでくれた。
そして一番最初と言うことで、お店で一番安いシャンパンを頼んだ。
値段は張らないが、モブくんが美味しくて飲みやすいと言っていた。

ケンくんが、テーブルに戻ってくるタイミングでモブくんがシャンパンを出してくれた。

「これ、アドバイスしてくれたお礼！本当にありがとう！」

笑顔でケンくんに告げると、ケンくんは私とシャンパンを何度も見た後に今まで私が見た中でも一番可愛い笑顔を見せてくれた。

「え！？本当に！？ありがとう！でも一番は、ちゃんと我慢できた翔子ちゃんの成果だよ」

そう言って頭をポンポンしてくれた。
あーマリくんから連絡が来た事と、ケンくんの笑顔とで全ての頑張りが報われた気がする。
むしろ、お釣りが来るくらいの気持ちだ。

でもホストクラブでシャンパンと言ったらみんなで集まってシャンパンコールをやるものではない事に私は驚いた。

物語がホストクラブ以外の場面が多すぎて…今回は登場できないかと思いましたよ！

大丈夫よ！ちゃんとホストクラブのシーンはあるわよ！で、なんでシャンパン入れたのにシャンパンコールが無いの？おかしいじゃないの！なんの為のシャンパンコールよ！詐欺よ！

Q.シャンパンコールがあるシャンパンとないシャンパンの違いは？

シャンパンの金額によってシャンパンコールの有無、種類が違います。

◆チェックポイント

シャンパンコールは、ある一定の金額を超えないとシャンパンを入れてもコールがありません。
だいたいシャンパンコールが付くのは小計4.5万くらいのシャンパンからになります。ちなみにグルダンは小計100万円以上のお客様には「狙い撃ち」と言う特別コールもあります。これも普通のシャンパンコールより格が上のものと言えるでしょう。

なによ！みんなに平等に優しくしなさい！

さすがに、その値段にも価値がありますから！しかもシャンパンコールってTOPDANDYで頼朝さんがしたのが発祥のものらしいですよ！そう思うとTOPDANDYでするシャンパンコールの特別感ってすごいですよね

すごいわね！歴史じゃない！

ちなみに、みんなでシャンパンを飲むようになったのはマリモさんが発祥、シャンパンタワーや派手な演出を付けたのは現・TOPDANDY Vの流星さんなんだそうですよ！

ガチでみんなグルダンなのね！

本当はシャンパンコールの様子を動画を見せたいのですがグルダンのyoutubeアカウントに意外にもコールの動画がなかったので一番雰囲気が伝わる(？)TOPDANDY-1st-のおめでとうコールの動画を載せておきましょうか！これでシャンパンコール気分を味わって下さい！

せっかくだったら、初シャンパンコールを体験してみたかったから少し残念ではあったが…。
今度、ケンくんにシャンパンコールがあるシャンパンと、ないシャンパンについて聞いてみよう。
と私はフルートに注がれていくシャンパンの泡を見ながら考えていた。

その日は一段と盛り上がった。
飲みキャラであるモブくんをヘルプ指名した事もあり、お酒も楽しく飲めた。

そしてチェックを頼んだ時だった。
ヘルプ指名をしたし、シャンパンも頼んだ為、前回よりも料金が高かった。
でも楽しかったし、サマンサのバックを少し我慢しよう…そう思いながら会計を渡した。

外までお見送りしてもらう時、ケンくんはなぜか浮かない顔をしていた。
「あのさ、翔子ちゃん。報告しに来てくれるのは嬉しいし、今日のお礼シャンパンもすごく嬉しいけどいきなり来すぎじゃない？」

心配そうに私を見つめるケンくんの顔を、怪訝な顔で見つめ返した。
「え…どういう事？私がいっぱいお金使わないから嫌になっちゃった？」

確かに私にとっては安くはない金額だったが、ナンバーホストに払うには少ない金額ではあるだろう。
そんな私に時間を割くのが嫌なんて容易に想像がつく。

幸せな気分に浸っていた私は、途端に惨めな気持ちになった。

だがケンくんの返答は予想外なものだった。

「そんな太客か細客かなんて関係ないよ！翔子ちゃん、こんなハイペースで飲みに来てたらさすがに無理しすぎじゃない？料金だって今回は高くなっちゃったし。俺は煽りもしないし無理はしてほしくないんだよ。」
ケンくんは、なんで急に体型の話をするのだろうか？
だがそれより、OLである私のお財布まで心配までしてくれている事に驚いた。

「ここに使うお金を翔子ちゃんの自分磨きに使ったり、大好きなサマンサのバックを買ったり…そういうのも大切だと思うな。相談ならラインでも乗れるし。いつでも連絡してよ。」
私はケンくんの優しさに感激をした。

もしもまだお店に居たら喜びでもう一本シャンパンを開けかねなかった。

「ケンくん、ありがとう。そんな事まで考えてくれてるなんて思わなかった。私マリくんの事頑張るね。」
「うん、明日のデート楽しんできてね。」

今日はケンくんの優しさにたくさん触れて一段と力がもらえた。
そして私が“細客”“太客”という言葉が体型についてではないと知るのは、しばらく後の事になる。

今回いっぱい用語が出てきましたね。その中でもシャンパンコールの金額についてとか、太客とか細客だとか表現があったのでホストクラブの使う金額についてお話したいなと思います。

みんな100万とか使って豪遊してお酒に飲み溺れて酒池肉林な宴を繰り広げるんでしょう？

いつも出てくる、よく分からないイメージはどこから出て来るんですか？そんな事ないですよ。やっぱりイベントの時は使用する金額が大きくなったりもしますが、通常時ではそこまで大金を使用することはないと思います。大半は一回の会計が2～5万の人が多いと思います。

ホストクラブでお客様が使用する金額分布

多くの人が2万～5万円だそうです。
こう見ると一般的なイメージのホストクラブで豪遊とは少し違うかもしれませんね。
もちろんこれは通常の日の料金であってそれがイベントであったりするとまた使用する料金分布も変わってくるようです。

ちょっと意外な数字だったわ！

一回のお会計で100万円以上使用してくれる人も居ますが、みんながみんなそうではありません。もちろんお店や、ホストによって売上額が違いますが。みちかさんが酒池肉林を繰り広げたいならたくさんお金が必要ですが。

次回予告

マリくんとのデートにテンションのあがる翔子。
でもそのデートでまさかの事件が！？

翔子頑張って！